![カヴァリエーリ:《魂と肉体の劇》[日本語解説付] [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/01MKUOLsA5L.gif)
音楽史上、ルネサンスからバロックへの様式の転換期にあたる1600年に上演されたとのことで、視聴すると本当に古典で古めかしい感は否めない。カヴァリエーリは宗教的内容を扱ったオペラを作ったつもりであったが、世界で最初のオラトリオまたは現在のオラトリオの下地を作ったと言われている。この作品は祈祷会で上演されたとのことなので、迷える羊を導くためのに教会から依頼されたのかも。迷える羊は導かれ改心し、救済され、栄光の地に導かれるという、教会への信仰を集める作品となっている。３幕「神の審判」の場面の音楽、演出は圧巻で盛り上がる。ジャケット表紙の写真はこの場面のもので詳細は見てのお楽しみ。しかし深く内容を考えなくても、全体的にどこか牧歌的・祝祭的で心地良く眠りに落ちる様なメロディでのんびり聞くことが出来る。古楽器使用で雰囲気が出ている。使われている言葉も平易で、やさしく諭す感じ。当時の人にも、すんなり受け入れられただろう。
舞台演出は簡素で特に奇抜なものではなく、場面で歌われている内容を多い場面で40人くらいの男女が体の動きで表現する。衣装も場面に会わせている。元々がオラトリオなのでこれくらいが適当で、十分楽しむ事は出来る。音楽の変遷を語る上で貴重な1枚だ。この後1607年にモンテヴェルディが史上初の本格的オペラ《オルフェオ》を発表。かなり洗練されてくる。
《魂と肉体の劇》と同じ様な道徳的内容で、ヘンデルが1707年にオラトリオ《時と悟りの勝利》を上演。こちらは『快楽』『美』『時』『悟り』の4人の対話形式。こちらはカヴァリエーリとは違い、かなり激しい旋律も随所に現れ、世相も変わり音楽もより過激になっている。ヘンデル屈指の作品で私の大好きな作品。科学が1900年から2000年の100年で大きく進歩したように、音楽も1600年から1700年の100年で大きく進歩しているのを感じることが出来る。両方聞き比べる事を勧める。エクサン・プロヴァンス音楽祭のライブ映像でサビーヌ･ドゥヴィエル(S)のものが、映像化されている。日本語字幕はないが、ネットで全訳見ることが出来る。
