2000年以前に4度、2014年に雪組(壮 一帆、愛加あゆ、未涼亜希、大湖せしる)が5度目、そして2022年の今回が6度目。6度目の今回は(和希そら、夢白あや、凪七瑠海(専科)、妃華ゆきの)が主要メンバー。この作品は役者を選ぶ。やっと再演出来る役者が揃った。
和希そらは2021年宙組で圧倒的な演技と歌と格好良さで『夢千鳥』を主演し、心奪われた。宝塚にしてはちょっと異質な作品。その和希そらが『心中・恋の大和路』を再演するということで、大いに期待が膨らむ。和希そらだけでなく、さすが和物の雪組、期待を上回る出来で大満足。夢白あや、妃華ゆきのも熱演。この作品は脇役も多く参加していて面白い。
そして終盤の締めは、前回同様に汝鳥 伶のいぶし銀の演技が光る。さらに極めつきは2人の雪路での逃避行場面での演出・演技、バックには私の大好きな専科の凪七瑠海の絶唱で終幕。宝塚の専科は素晴らしい。特典映像で、夢白あやの感想が興味深かった(詳細は秘密)。
この作品の原作は江戸時代のシェイクスピアとも評される近松門左衛門の浄瑠璃 『冥途の飛脚』だが、映画では『浪花の恋の物語』(1959)がイチオシ。そして同じモチーフで北野武監督作品●『Dolls』(2002)がある。菅野美穂、西島秀俊主演。20作近くある監督の作品の中で、私が一番好きな作品。男と女は赤い糸でなく、”赤いひも”でつながっている。愛が深いほど、”ひも”は太く、一蓮托生の運命をたどる。『R&J』『王家に捧ぐ歌』も同様。