(少し内容に触れています)
観光先のマドリッドで無限回廊に迷い込んでしまうアメリカ女性を耽美幻想的に描いた「リサと悪魔(’73)」は最高級の美しい映像と音楽を塗した傑作ですが、既に「エクソシスト」やスラッシャー映画といった刺激の強いホラーを望む市場では買い手がつかず、プロデューサー、アルフレード・レオーネが追加場面を撮り、リサを悪魔に取りつかれる女性にしてしまった「新エクソシスト/死肉のダンス(‘75)」に急造されたいわくつきの作品です。
折角仕上げた作品の改悪を命ぜられたバーヴァの心中を思えば気の毒な限りで、彼は本名のクレジットを拒否していますが、酷評されがちな(でも興行的には一定の成功を収めた)本作は、口から吐くものの多様さと、一流女優のトップレス(ソマーもコシナも露出度を上げています)、新進女優のオールヌードが拝見出来るエログロ作として、同傾向のエクソシスト便乗作品、評者も嫌いではない「デアボリカ」や「レディ・イポリタの恋人/夢魔」に比べて特に酷い印象は受けないサービス作でした。
主演はゴージャスで筋肉質なブロンド美女エルケ・ソマー(「暗闇でドッキリ」「サイレンサー破壊部隊」「キッスは殺しのサイン」)。
マルチリンガルの才女で、コメディ・タッチの作品での素晴らしい演技が印象に残る女優さんですので、「新エクソシスト~」の悪魔に憑かれる役は少々ミスキャストに見えます。
同じくブルネットの猫系美人のコシナ(「鉄道員」「へラクレス」「キッスは殺しのサイン」)。
この二人が悪女コンビを結成した「キッスは殺しのサイン」は大変面白いブルドック・ラモンド物でした。
謎のカリスマ性溢れる人物に扮するのはスキン・ヘッドがトレード・マークの70年代はイタリア映画に多く出演したテリー・サヴァラス(「刑事コジャック」「狼の挽歌」「可愛い冒険者」「ダーティー・セヴン」「ダイヤモンドの犬たち」「特攻大作戦」)。
濃い目の美形男優アレッシオ・オラノ、そして大女優の威厳を見せるアリダ・ヴァッリ。
本作追加収録分ではイタリア系アメリカ人のロバート・アルダ(アラン・アルダの父)と全裸ヘア・ヌード担当でカルメン・シルヴァ等が参加しています。
ジャッロ・ファン、バーヴァ・ファンの方には「リサと悪魔」、イタリアン・テイストのエロチックなオカルト・サスペンスがお好きな方には「新エクソシスト~」をお薦め致します。
本作の特典はアルフレード・レオーネとエルケ・ソマ-の音声解説に加え、TV放映時の日本語吹き替えが入る予定です。
第Ⅰ期同様バタリアンズの解説は中止になりました。