孤独な男の生き方を静かな抒情で謳いあげた作品。ブロンソンの男くささ全開の1本だ。
この物語は流れ者の少年が一匹狼のブロンソンと出会い“男の生き様”を学び、そして別れるまでの過程を描いている。旅する少年と土地に定着して生きる男の構図はまるで『シェーン』の逆バージョンだ。話の背景には開拓民としてのブロンソンと土地管理をしようとする地主との対立とがある。その点でもかの名作に近い設定である。
馬にガチンコで対峙する男ブロンソンの迫力。馬さばきの姿が実にかっこいい。そして荒野を走る野生馬たちを捉えたロングショット。筋肉の躍動から馬たちの息づかいが伝わってくる。そんな野性馬にブロンソンの姿がかぶる。とりわけ野生馬の交尾を見ていたジル・アイアランドを強引に押し倒してしまうブロンソンである。彼は言う。「女は男に付き従うもんだ」と。
ブロンソン夫妻の掛け合いが面白過ぎる。馬の乗り方が下手なジルを馬鹿にするブロンソン。日本語吹替ではジルが“オシリ”と言ったのに対して“ケツだ”と言うセリフが最高。「だいたい女ってもんは馬に乗るようにできてないんだ」というセリフもいい。その後、風呂に入っているブロンソンの前にジルが現れる。全裸を見られるのを恥じらうブロンソンもまたいい。
ブロンソンが少年にナイフを贈るシーンが好きだ。彼は自分のナイフをインディアン少女の作った手作り品と交換したのだ。そんな少年にブロンソンはナイフを贈る。ナイフは銃と同じく男が生きるための必需品だ。ランボーだって一番のパートナーはナイフなのだ。
この映画は奇妙な作風である。例えばオープニングは少年で始まっているが、彼が何故独りで旅をしているのか描かれない。描かれるのは一方的にブロンソンのほうだけである。謎の少年は最後まで謎のまま終わる。このあたりの中途半端さはどうも腑に落ちない点といえる。
またラストも普通の西部劇なら銃撃戦で盛り上がるのが一般的だが、なんとブロンソンは雑魚だけをやっつけてボスと対決せず降伏してしまう。そしてボスも目の前のブロンソンを攻撃せず不戦勝となる。このあたりは『荒野の七人』『大脱走』といった骨太アクションを得意とするジョン・スタージェス監督を期待すると肩透かしを食らう。
ブロンソンは結婚を約束したジルを手に入れることができず、生業である馬たちを逃がし自分の家には火を放って去っていく。少年には自分の道を行けと諭して別れる。これが男の決断かと思うとあまりに哀しい。『シェーン』のような後ろ髪を引かれる思いなど微塵もなく男の孤独感のみを残して終わる。男はその後どこに流れていくのか想像できない。見る者を突き放すようなエンディングだ。
■メディアについて
2014年発売のDVDと2018年発売のスペシャルプライス版Blu-rayを所有。共にオルスタックソフト盤である。
DVDは字幕に英語・日本語の選択があるのみで特典などは無し。対するBlu-rayは字幕選択に加え、音声は英語DTS-HD、ドルビーの2択と日本語吹替収録、そして予告編まで付いている。
画質は元々DVDがあまり良くないので、Blu-rayは桁違いに鮮明に見える。
画面サイズはDVDが16:9の横長であり、Blu-rayは4:3となっている。比較して見るとDVDのほうはBlu-rayの4:3の下の部分をカットしたサイズとなっている。
オープニングのタイトル字幕がDVDとBlu-rayでは違う。DVDが「THE VALDEZ HORSES CHIINO」と出るのに対し、Blu-rayのほうは「VALDEZ IL MEZZOSANGUE」となっている。内容のほうまで細かく比較したわけじゃないので分からないが、収録時間は同じなので差はあっても少ないと思われる。
以上のことから、もしDVDを所有していてこの映画が大好きなら是非Blu-ray版は買うべきだろう。廉価で買えるならチャンスだ。ただDVDジャケットにある「大平原の夕陽がきょうも男の孤独を告げる!!」のコピーは捨てがたくファンならば両方所持することをオススメする。
ファイナルプライス版 さらばバルデス HDマスター版 blu-ray&DVD BOX《数量限定版》
¥1,426 ¥1,426 税込
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フォーマット | 色, ドルビー |
コントリビュータ | アルマンド・ナンヌッツィ, グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス, ヴィンセント・ヴァン・パタン, ジョン・スタージェス, リー・ホフマン, クレア・ハフェーカー, マルセル・ボズフィ, ジル・アイアランド, チャールズ・ブロンソン 表示を増やす |
言語 | 英語, 日本語 |
稼働時間 | 1 時間 37 分 |
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登録情報
- アスペクト比 : 1.33:1
- 言語 : 英語, 日本語
- 梱包サイズ : 16.8 x 13.5 x 1.2 cm; 90 g
- EAN : 4589825447925
- 監督 : ジョン・スタージェス
- メディア形式 : 色, ドルビー
- 時間 : 1 時間 37 分
- 発売日 : 2022/5/30
- 出演 : チャールズ・ブロンソン, ヴィンセント・ヴァン・パタン, マルセル・ボズフィ, ジル・アイアランド
- 字幕: : 日本語
- 言語 : 日本語 (Dolby Digital 2.0 Stereo), 英語 (Dolby Digital 5.1), 英語 (Dolby Digital 2.0 Stereo)
- 販売元 : 映像文化社
- ASIN : B09W73Y1GZ
- 原産国 : 日本
- ディスク枚数 : 2
- Amazon 売れ筋ランキング: - 152,649位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 10,296位ブルーレイ 外国映画
- - 11,846位外国のアクション映画
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年2月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブロンソンファンは押さえて欲しい
2020年3月27日に日本でレビュー済み
レビュアーから『センスのないジャケットは何とかして欲しい』と叩かれまくっているオルスタックソフト販売からの代物ですが、今作はリバーシブル・ジャケットになっているので問題ないでしょう。
つい先日BS-NHKで放映されていたので、録画してちょっくら観比べてみましたが、全く同じでしたね。
何で観比べたのかと言うと、本ブルーレイはエンド・ロールがバッサリとカットされているので『なんじゃこりゃ?』とソフトそのものに不信感を抱いていた訳で。
放映された方にエンド・ロールがあれば販売会社に散々文句を言ってやろうと思いましたが、止めました。まぁ同じマスターテープを使っているんでしょうが、
この件について他のレビュアーの方は誰も触れていないので、ひょっとしたらHDマスターだからそうなったのか、誰かご存知の方教えて下さい。
それにしてもレビュー・タイトルにある様にこの西部劇は酷い。下手なマカロニ・ウェスタンより酷いお話です。
ブロンソン演じるチコ・バルデスが常識を備えた大人?だから、マカロニの様な血生臭い悲劇にはなりませんが、観終わった後全く釈然としませんね。
ゆえに西部劇にしてはドンパチ・シーンは終盤まで殆どありません。「レッド・サン」のようなヒーロー然とした男ブロンソンを期待すると肩透かしを食らいます。
私は観ているうちに「マジェスティック」の西部劇版みたいになっていくのかなぁと思ったんですが、全くチャイました。
今作では相変わらずまたしても愛妻ジル・アイルランドが華を添えておりますが、今作のジルはキュートですよ、個人的にはですが。
いつもはホンマにただの添え物ですが、今作で出演している唯一のまともな女優さんなんで、輝いて見えます。
劇中男ブロンソンの逸物を見ても平然としているところなんて素晴らしい。いつもならカマトトぶって『キャー』何て言っても可笑しくないんですがね。
今作の悪党役マルセル・ボズフィはミス・キャストの様な気が。フランス人だという先入観がある為か、カウボーイ・ハットが全く似合っていない。
それに何時もは憎々しい役が多いんですが、意外と及び腰なのが気に入らない。あのラストの為にわざとこういうキャラにしたのかもしれませんが。
大物プロデューサーであるラウレンティスはフランス人であるこの人をどうしてわざわざ起用したのか、もっと適役の役者はいるんですがね。
そしてプロテニス・プレイヤーのヴィンセント・ヴァン・パタン。今で言う二刀流です。撮影当時16歳のようですが、この頃は純粋に子役として活躍。可愛いですな。
「ホーム・アローン」や「シックス・センス」の子役よりも数段可愛いですよ、個人的にはですが。
シングルスで全米、全英にいずれも3度、全仏に1度出場。全仏ではダブルスで準々決勝まで進出したプレイヤーでしたが、役者とどっちつかずの事をしていたおかげで、結局どっちもパッとしませんでした。
この甘いマスクですから、役者に専念していればかなりの売れっ子役者になったんではと思われます。勿体ない。
最後になりましたが、IMDBによると今作はスタージェス以外にドゥイリオ・コレッティと言う人も演出したことになっているが、勿論ノン・クレジット。
しかしNHKは監督として2人の名前を記載しています。この辺りに詳しい方、事情を教えて下さい。
つい先日BS-NHKで放映されていたので、録画してちょっくら観比べてみましたが、全く同じでしたね。
何で観比べたのかと言うと、本ブルーレイはエンド・ロールがバッサリとカットされているので『なんじゃこりゃ?』とソフトそのものに不信感を抱いていた訳で。
放映された方にエンド・ロールがあれば販売会社に散々文句を言ってやろうと思いましたが、止めました。まぁ同じマスターテープを使っているんでしょうが、
この件について他のレビュアーの方は誰も触れていないので、ひょっとしたらHDマスターだからそうなったのか、誰かご存知の方教えて下さい。
それにしてもレビュー・タイトルにある様にこの西部劇は酷い。下手なマカロニ・ウェスタンより酷いお話です。
ブロンソン演じるチコ・バルデスが常識を備えた大人?だから、マカロニの様な血生臭い悲劇にはなりませんが、観終わった後全く釈然としませんね。
ゆえに西部劇にしてはドンパチ・シーンは終盤まで殆どありません。「レッド・サン」のようなヒーロー然とした男ブロンソンを期待すると肩透かしを食らいます。
私は観ているうちに「マジェスティック」の西部劇版みたいになっていくのかなぁと思ったんですが、全くチャイました。
今作では相変わらずまたしても愛妻ジル・アイルランドが華を添えておりますが、今作のジルはキュートですよ、個人的にはですが。
いつもはホンマにただの添え物ですが、今作で出演している唯一のまともな女優さんなんで、輝いて見えます。
劇中男ブロンソンの逸物を見ても平然としているところなんて素晴らしい。いつもならカマトトぶって『キャー』何て言っても可笑しくないんですがね。
今作の悪党役マルセル・ボズフィはミス・キャストの様な気が。フランス人だという先入観がある為か、カウボーイ・ハットが全く似合っていない。
それに何時もは憎々しい役が多いんですが、意外と及び腰なのが気に入らない。あのラストの為にわざとこういうキャラにしたのかもしれませんが。
大物プロデューサーであるラウレンティスはフランス人であるこの人をどうしてわざわざ起用したのか、もっと適役の役者はいるんですがね。
そしてプロテニス・プレイヤーのヴィンセント・ヴァン・パタン。今で言う二刀流です。撮影当時16歳のようですが、この頃は純粋に子役として活躍。可愛いですな。
「ホーム・アローン」や「シックス・センス」の子役よりも数段可愛いですよ、個人的にはですが。
シングルスで全米、全英にいずれも3度、全仏に1度出場。全仏ではダブルスで準々決勝まで進出したプレイヤーでしたが、役者とどっちつかずの事をしていたおかげで、結局どっちもパッとしませんでした。
この甘いマスクですから、役者に専念していればかなりの売れっ子役者になったんではと思われます。勿体ない。
最後になりましたが、IMDBによると今作はスタージェス以外にドゥイリオ・コレッティと言う人も演出したことになっているが、勿論ノン・クレジット。
しかしNHKは監督として2人の名前を記載しています。この辺りに詳しい方、事情を教えて下さい。