考古学者を父に持つ少女スージーはエジプトの遺跡調査に同行し,盲目の女から奇妙な青い首飾りを貰う。
帰国後,彼女の住むマンションがエジプトと空間的に直結し,家の床が砂漠化し母の同僚が遭難したり,
サソリが這ったり,エレベーターの底が抜けたり,次々を怪異が起こり始める。
怪しげな骨董品屋によると,彼女の持つ首飾りは「神の瞳」と呼ばれ,
蛇神ハブヌブノアの瞳を象っていて持ち主に憑りつき,様々な怪異を起した挙句,生命力を吸い取って死に至らしめるという。
呪いは肩代わりが可能で,骨董品屋はスージーに降りかかった呪いの矛先が自分に向く様,除霊を開始するのであった…。
「フルチ版エクソシスト」を「何か途轍もない事が起こりそうな予感」を醸成しながら描く,
本作の魅力は,その点に尽きると言え,「サンゲリア」や過去作の曲を流用しながら,
巧みに雰囲気を盛り上げ予感を視聴者に感じさせて行く。
論理的整合性は皆無で,犠牲者が出ても何事も無かったかの様に話が進む不人情ぶりに憤慨する向きもあるだろうが,
フルチ映画は彼が感じ取ったイメージの羅列であって,論理的整合性など最初から無いし,
ひとつのイメージを描いたなら,次の新たなイメージの映像化が最優先であって,
過去のイメージには全く拘らない。
それがフルチ作品の真骨頂なのだ。
作品として評価する場合,僕は物語性,話の辻褄を優先するので星3つ評価が精々だが,
「フルチ映画」としては5つ星評価となる。
到底一般的評価とは言えんがね。