すっごくおもしろい。
異色の作風だが、14歳の少女たちの物語は、王道の輝きを持っている。
アイ、ねいる、リカ、桃恵。アカ、裏アカ。どのキャラクターも個性があって魅力的で、謎と青春と闘いが組み合わさった物語に引き込まれる。勢いがよく、その活躍をいつまでも見ていたいと思わせてくれる。
第1話だけではわかりづらかったが、惹かれるものがあったので、とりあえず2話、3話と視聴しているうちに、おもしろさを確信した(3話で登場する、リカというヒロインの存在のパワーが、大きく影響している気がする)。
作中で描かれていない部分も多いが、あえて明かしていないのだろう。それを補完するのは、視聴者の想像、ということになるのだろうか。
野島伸司氏の作品は、ドラマだけではなくコミックも読んだことはあるが、ここまで氏とアニメーションの親和性がいいとは意外だった。数多くの、もはや実写では描き難くなったセンシティブな問題を、ストーリーに自然に取り込んでいるところは、さすがの一言だ。
ただ、である。
本作の第8話は総集編となっている。そして最終12話の次に、特別編が入る。
もう、こういう制作過程を誤魔化すようなやり方は、やめるべきだ。
これがあることで、全12話が、全11話となり、結果として物語のすべてが収まりきらず、最終話のあとに特別編を作らなければいけないことになっている。
ここまでしなければいけない制作スタッフに、どれだけの重圧がかかっているか、想像するだけで胸が痛む。
スケジュールが恐ろしいほどタイトなことは多くのアニメファンが知っている。ニュースやドキュメンタリーでも報道されたし、政治が口を出さねばならないほど、アニメ制作は過酷な現場となっている。
だからこそ、総集編やおまけ回でお茶を濁すようなことはせず、最初から、全12話なら『6話作ったら1回(1週間)休んで全13週』、あるいは『4話ごとに1回、計2回休んで全14週』というように、時間調整して現場に余裕を持たせてほしい。
もちろん「総集編があるから新規の人にも分かりやすい」ということはある。しかし、今は見逃し配信もあれば、ネタバレにならないようにあらすじを紹介したサイトも多くある。わざわざ編集に負担をかける必要はない。
連載を持つ中で、定期的に休載する漫画家も増えた。休息と、スケジュール調整。壊れるまで描くことが美徳とされる時代は終わった。
そのように漫画制作の現場で休載ができるようになったのなら、アニメーションの現場も取り入れてかまわないのではないか? ぜひ『アニメ放送の休載』を可能にしてほしい。
最初から堂々と『制作クオリティと話数を維持するため、お休みをはさむ』と公表して始めれば良い。
胃が痛くなるような過酷な制作過程が透けて見えるより、そのほうが心情的にも良いに決まっている。視聴する側も、きっと納得してくれるはずだ。現にNHKは『進撃の巨人』で、似たようなことを始めている。
スケジュール、放送費、人件費、各方面との調整といった難しいハードルもあるのだろうが、このままでは作る人たちが潰れてしまう。今こそ働き方改革をするときだ。
とにかくまずは、時間が必要だ。それをアニプレックス・CloverWorksのような業界大手が率先してやることにより、他でもその方法が許されるようになるのではないか。
本来ならここで書くべきではないことかも知れないが、総集編・特別編が存在したからこそ書いた。『ワンダーエッグ・プライオリティ』のような優れた作品を作ることができるアニメ文化が、どうか、無理なく維持できる世界に変わってほしいと切に願う。