映画館でも見ましたし、気に入ったのでDVDも購入です。
一見ファンタジーのような世界だが、原作を読んでいる人はこれがダークな話である事は分かるだろう。
*以下ネタバレ注意*
王子の所に、ある日ふと、薔薇の花が現れる。
その薔薇は、王子にあれこれと指図をした。
「ガラスの覆いが欲しいわ」
「ここはとても寒い」
「水はまだなの?」
「はやくして」
「貴方はそんな事もできないの?」
薔薇の我が儘に疲れた王子は、薔薇を一人残して、惑星を旅立つ。
最後に薔薇は、「ごめんなさい。私が間違っていたわ。本当は貴方を愛しているの。許して…」と言い残す。
愛していても、言葉の棘を刺す事しかできない薔薇もとても哀れである。
それでも、王子は薔薇を愛していた。
そして、王子は地球でキツネと出会う。
このキツネとの出会いが、王子を自殺に導いた最大の特徴となる。
惑星にいる薔薇が我が儘だと知らないキツネは、王子に「ただの薔薇じゃない。君の薔薇だ。君にとってたった一つの薔薇。帰ってあげなよ。」と言う。
その言葉で、王子は、(愛するたった一つの薔薇を僕は惑星に置いてきた…なんという事だ。)と自分を責めるのである。
そして蛇との出会い。
「君が望むなら、いつでも星に帰らせてあげよう。」と意味深に言い近寄る。
「長くは苦しまない?」と蛇に相談する王子。
王子は、飛行士に抱かれ、死の直前なのか、顔は青ざめていた。
そして、蛇に噛まれ、王子は死ぬ(星に帰った)のだった。
ここまでは、薔薇のモラルハラスメントとキツネの出会いによって、わずか9歳の男の子が、自殺に追い込まれるダークな話なのである。
その後大人の世界で、大人として働く王子のあのストーリーは、「リトルプリンス星の王子様と私」のオリジナル続編となる。
あのヘタレ感のある大人の王子は、賛否両論だが私は好き。
正確かは分からないが推定年齢は23歳らしい。
CGも素晴らしいが、紙で表現されたストップモーションはとても美しい。ジブリを超えるレベル。
星の王子様は初の映画化で、今までイメージで思い浮かべる事しかできなかった王子やうぬぼれ男、その他のキャラクターがとても可愛く表現されていて、嬉しかった。
「羊の絵を描いて!」と無邪気に笑う王子の可愛いこと可愛いこと。
声優陣も悪くはない。でも、薔薇の声が、少しカタコトで「いかにも滝川クリステル!」って感じが出ててちょっと違和感。
エンディングも、日本語版「気づかず過ぎた初恋」も良かったが英語版の「Gabrielle Aplin ‐ Salvation」のままの方が良かったんじゃないかと思う。
作品は素晴らしいが、何度見ても「ちょっとよく分からない」という部分がある所が、サン=テグジュペリの魅力である。
全てを含めて私は星の王子様が好きなので、星5つです。