ルイ・マルのノリノリで才気あふれる華麗な演出が楽しめます。
アンリ・ドカエ撮影による映像が非常に美しいです。
とくに2人が水車小屋から舟に乗り愛し合う流れるような場面は、
ブラームスの音楽も効果的、陶酔感いっぱいでうっとりします。
月の光の下で2人が出会い心を通わせていく過程が見事で
ジャンヌ・モローが非常に美しいです。
フランス映画の中でも屈指の名場面でありましょう。
恋人たち Blu-ray
フォーマット | Blu-ray, 字幕付き, モノ |
コントリビュータ | ジャン・マルク・ボリー, ジャンヌ・モロー, ルイ・マル, アラン・キュニ― |
言語 | フランス語 |
稼働時間 | 1 時間 31 分 |
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商品の説明
夜は時を失った。 月あかりのなかで、ふたりは恋の深淵に沈んでゆく。
【内容】
月と星が時を制する夜、あらゆるものは眠りにおち、闇と静謐が時間の概念をわすれさせる。その刹那、恋の深淵に沈んでゆくふたりにとって瞬間は永遠の意味をもつ。
華やかな上流社会にいきる夫人が、すべてを捨てさり、ふと知りあった青年と恋の逃避行に出発する。たった一夜の出来事で女は変わった。恋に日常の時間概念は通用しない。
月あかりの情事は、風景を、男と女を、透きとおる硝子細工のように映しだす。封切り当時、この美と官能に研ぎすまされたラブ・シーンは、劇場をひといきれで満たした。
ジャンヌ・モローの妖しい魅力、男を燃焼させる発火力を秘めたその眼差し、26歳のルイ・マル監督の女をえがく繊細な裁き、それらはブラームスの弦楽六重奏曲第1番の滑りおちてゆくようでいてどこか決然とした響きをはらむ旋律にいろどられ、スクリーンには〝恋〟の極限が現出する。
【作品情報】
監督:ルイ・マル
脚本:ルイ・マル
ルイーズ・ド・ヴィルモラン
撮影:アンリ・ドカエ
音楽:ヨハネス・ブラームス
出演:ジャンヌ・モロー
ジャン・マルク・ボリー
アラン・キュニ―
【スペック】
製作国:フランス、91分、モノクロ、日本語字幕、フランス語、1958年
作品解説収録
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : フランス語
- 製品サイズ : 30 x 10 x 20 cm; 80 g
- EAN : 4933672243955
- 監督 : ルイ・マル
- メディア形式 : Blu-ray, 字幕付き, モノ
- 時間 : 1 時間 31 分
- 発売日 : 2014/10/24
- 出演 : ジャンヌ・モロー, ジャン・マルク・ボリー, アラン・キュニ―
- 字幕: : 日本語
- 販売元 : IVC,Ltd.(VC)(D)
- ASIN : B00MGCELNW
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 37,140位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 561位外国のラブロマンス映画
- - 3,323位外国のドラマ映画
- - 3,781位ブルーレイ 外国映画
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年8月27日に日本でレビュー済み
1958年。 監督はルイ・マル。
原作はイヴァン・ドノン原作の短篇小説「明日はない」。
30歳の子持ちの主婦(ジャンヌ・モロー)が浮気する不倫劇。
ジャンヌ・モローがとても美しい。 ナタリー・ポートマンと沢尻エリカに通じる、完璧に整った顔です。
そのジャンヌ・モローが演じる主婦が、高飛車な態度で鼻につく。 ジャンヌ・モローってキレイなのだが、気が強そうで観てると萎えます。 優しくなさそう。 なのではまり役ですね。
モノクロの映像がオシャレで、ジャンヌ・モローの服や髪形も楽しめます。 車もデザインがカッコいい。
旦那と痴話喧嘩しつつ浮気してるのだが、終盤30分ぐらい浮気相手でいちゃついてるシーンが続いて参った。 豪邸とはいえ同じ屋根の下に旦那と子供がいるのに、セックスして「今が一番幸せ」って言ってみたり、バスタブでいちゃついたり・・・。 道徳心ゼロです(笑)
なんかそれだけの作品なので、あんまり面白みは感じませんでした。
原作はイヴァン・ドノン原作の短篇小説「明日はない」。
30歳の子持ちの主婦(ジャンヌ・モロー)が浮気する不倫劇。
ジャンヌ・モローがとても美しい。 ナタリー・ポートマンと沢尻エリカに通じる、完璧に整った顔です。
そのジャンヌ・モローが演じる主婦が、高飛車な態度で鼻につく。 ジャンヌ・モローってキレイなのだが、気が強そうで観てると萎えます。 優しくなさそう。 なのではまり役ですね。
モノクロの映像がオシャレで、ジャンヌ・モローの服や髪形も楽しめます。 車もデザインがカッコいい。
旦那と痴話喧嘩しつつ浮気してるのだが、終盤30分ぐらい浮気相手でいちゃついてるシーンが続いて参った。 豪邸とはいえ同じ屋根の下に旦那と子供がいるのに、セックスして「今が一番幸せ」って言ってみたり、バスタブでいちゃついたり・・・。 道徳心ゼロです(笑)
なんかそれだけの作品なので、あんまり面白みは感じませんでした。
2017年9月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
平たい、下世話な見方をすれば、題材は今とにかく騒がれる不倫話です
不倫はいけない、という当たり前の観点に立てば、
お金持ちの有閑マダムの恋の火遊び!とか、旦那さんがいる自宅で夜不倫!とか、
幼い娘もいるのに、不倫!挙句の駆け落ち!とか、突っ込みどころが冗談のように満載です・・
日本人ならなかなかこうはできないと思うのですが、堂々としたものです!
私は、ルイ・マル監督は、この恋人たちの夜の姿、真珠のネックレスをつけて白いナイトガウンで
田舎の庭を月夜の下、若い恋人とそぞろ歩く二人を、美しく描いてみたかった、という事だろうなー、と思います。
当たり前の恋人同士じゃ、美しさは当たり前になってしまうし・・・やはり、
日常に悶々としていた妻が、ついに見つけた恋の幸せに浸るのです
ところで、そもそもの間違いは、彼女が、自分を楽しくさせるような面白みのある人を夫に選ばなかったことに、
原因があると思います。
結婚生活はなるべく長丁場に耐えうる方がいいでしょう。そのためにも、
お互いが、人間としての性格の素の状態で、面白いなー、と思いえる部分がないと、飽きてしまうでしょう
この映画は、きれいだし、不倫話でも詩的に描いているし、あれれ・・・と展開を追ってしまうので、
☆5個と言えるくらいすごいと思うけど、
彼女が、夫選びの目がない、つまらない女だった、という部分で、ちょっと残念でマイナスを付けました。
音楽はブラームスの弦楽六重奏曲です。
まじめな恋の感情の襞を感じさせてくれる音楽だとは思うのですが、
この曲は、弟子?として通っていたシューマンの家で奥さんのクララに愛情を抱いたブラームスが、
その恋の感情を十分成熟させたうえであきらめる気持ちを込めた曲、と聞きました。
クララは旦那さんをとても愛していて、ブラームスとも親交が深かったけど、
不倫にはならなかったみたいで、夫の事もブラームスの事もとても大切にしたわけだから、
この、映画のジャンヌとはずいぶん格が違う女性ではないか、と感じます。
不倫はいけない、という当たり前の観点に立てば、
お金持ちの有閑マダムの恋の火遊び!とか、旦那さんがいる自宅で夜不倫!とか、
幼い娘もいるのに、不倫!挙句の駆け落ち!とか、突っ込みどころが冗談のように満載です・・
日本人ならなかなかこうはできないと思うのですが、堂々としたものです!
私は、ルイ・マル監督は、この恋人たちの夜の姿、真珠のネックレスをつけて白いナイトガウンで
田舎の庭を月夜の下、若い恋人とそぞろ歩く二人を、美しく描いてみたかった、という事だろうなー、と思います。
当たり前の恋人同士じゃ、美しさは当たり前になってしまうし・・・やはり、
日常に悶々としていた妻が、ついに見つけた恋の幸せに浸るのです
ところで、そもそもの間違いは、彼女が、自分を楽しくさせるような面白みのある人を夫に選ばなかったことに、
原因があると思います。
結婚生活はなるべく長丁場に耐えうる方がいいでしょう。そのためにも、
お互いが、人間としての性格の素の状態で、面白いなー、と思いえる部分がないと、飽きてしまうでしょう
この映画は、きれいだし、不倫話でも詩的に描いているし、あれれ・・・と展開を追ってしまうので、
☆5個と言えるくらいすごいと思うけど、
彼女が、夫選びの目がない、つまらない女だった、という部分で、ちょっと残念でマイナスを付けました。
音楽はブラームスの弦楽六重奏曲です。
まじめな恋の感情の襞を感じさせてくれる音楽だとは思うのですが、
この曲は、弟子?として通っていたシューマンの家で奥さんのクララに愛情を抱いたブラームスが、
その恋の感情を十分成熟させたうえであきらめる気持ちを込めた曲、と聞きました。
クララは旦那さんをとても愛していて、ブラームスとも親交が深かったけど、
不倫にはならなかったみたいで、夫の事もブラームスの事もとても大切にしたわけだから、
この、映画のジャンヌとはずいぶん格が違う女性ではないか、と感じます。
2016年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
黒衣の花嫁、死刑台のエレベーター、恋人たちはジャンヌ・モローのベスト作
大昔に見てブラームスの曲に酔いしれた記憶があり購入
半世紀経ってもずれが無い作品
夜の映像がとても美しくストーリーもこの時代にしては驚きですよね
若い人に見てもらいたい作品です
大昔に見てブラームスの曲に酔いしれた記憶があり購入
半世紀経ってもずれが無い作品
夜の映像がとても美しくストーリーもこの時代にしては驚きですよね
若い人に見てもらいたい作品です
2013年10月29日に日本でレビュー済み
ルイ・マル監督のデビュー2作目の作品。主演は名作「死刑台のエレベーター」に続きジャンヌ・モロー。
パリ郊外で新聞社を経営している夫と結婚し裕福な生活を送っているジャンヌは、頻繁にパリに出かけてポロの選手と不倫関係を続けていた。金持ちだが頭の堅い夫と、優しく適度に遊びのうまい恋人との三角関係に揺れるジャンヌだが、ある日ベルナールという若い男との出逢いによって話は予想外の方向へと進んでいく。
話自体は大したストーリーではない。言ってしまえばただのメロドラマであり、いわゆるフランス映画という感じの気だるい雰囲気。音楽も「死刑台の〜」の緊張感あるジャズとは打って変わってムーディなものが多い。
だが、若きジャンヌ・モローの演技が素晴らしい。美しいが常にどこか不満を持っていて何か文句がありそうな表情。夫といる時も、恋人といる時も、服を着替えたり化粧をしたりしている時も、車を運転している時もどこかイライラしている感じを受ける。それが終盤のシーンで、相好を崩しどこか解き放たれたような明るい印象に。そのギャップと初めて見せる女らしさに魅力を感じずにはいられないだろう。特に妖艶なラブシーンは必見。
また、ジャンヌとその夫、パリの恋人、ジャンヌの友人女性、ベルナールと登場人物が一堂に会する中盤の夕食シーンの緊迫感も◎。噛み合っているようで噛み合っていない会話、お互いを牽制し合う微妙すぎる空気感はおもしろい。その中でもやはり冷めたような表情を見せるジャンヌが印象的。
モノクロ映画だが夜のシーンなどは特に幻想的で美しく、ブラームスの「弦楽六重奏曲1番」の重厚な響きと相まって複雑な恋愛事情をより一層濃厚なものに描いている。
「死刑台の〜」「鬼火」と共に、初期ルイ・マル作品を代表する名作。ジャンヌ・モローの魅力を是非堪能してほしい。
パリ郊外で新聞社を経営している夫と結婚し裕福な生活を送っているジャンヌは、頻繁にパリに出かけてポロの選手と不倫関係を続けていた。金持ちだが頭の堅い夫と、優しく適度に遊びのうまい恋人との三角関係に揺れるジャンヌだが、ある日ベルナールという若い男との出逢いによって話は予想外の方向へと進んでいく。
話自体は大したストーリーではない。言ってしまえばただのメロドラマであり、いわゆるフランス映画という感じの気だるい雰囲気。音楽も「死刑台の〜」の緊張感あるジャズとは打って変わってムーディなものが多い。
だが、若きジャンヌ・モローの演技が素晴らしい。美しいが常にどこか不満を持っていて何か文句がありそうな表情。夫といる時も、恋人といる時も、服を着替えたり化粧をしたりしている時も、車を運転している時もどこかイライラしている感じを受ける。それが終盤のシーンで、相好を崩しどこか解き放たれたような明るい印象に。そのギャップと初めて見せる女らしさに魅力を感じずにはいられないだろう。特に妖艶なラブシーンは必見。
また、ジャンヌとその夫、パリの恋人、ジャンヌの友人女性、ベルナールと登場人物が一堂に会する中盤の夕食シーンの緊迫感も◎。噛み合っているようで噛み合っていない会話、お互いを牽制し合う微妙すぎる空気感はおもしろい。その中でもやはり冷めたような表情を見せるジャンヌが印象的。
モノクロ映画だが夜のシーンなどは特に幻想的で美しく、ブラームスの「弦楽六重奏曲1番」の重厚な響きと相まって複雑な恋愛事情をより一層濃厚なものに描いている。
「死刑台の〜」「鬼火」と共に、初期ルイ・マル作品を代表する名作。ジャンヌ・モローの魅力を是非堪能してほしい。
2012年2月12日に日本でレビュー済み
有閑マダム、ジャンヌ・モローの 『不倫の恋』 たったそれだけの話です。
たったそれだけの話ですが、美しいラブ・シーンは
月明かりと木々の影のコントラストで幻想的な世界に誘ってくれます。
『死刑台のエレベーター』では、マイルス・デイヴィスのトランペットによるアドリブ演奏でしたが
今作では、ブラームスを使い、映像とうまく絡んでます。
たったそれだけの話ですが、美しいラブ・シーンは
月明かりと木々の影のコントラストで幻想的な世界に誘ってくれます。
『死刑台のエレベーター』では、マイルス・デイヴィスのトランペットによるアドリブ演奏でしたが
今作では、ブラームスを使い、映像とうまく絡んでます。
2017年11月25日に日本でレビュー済み
<レビューの後半ラストにもふれています>
18世紀の小説の翻案。舞台を1950年代に移しています。
前半(全体の2/3くらい)は古典的な趣の心理劇の要素もあって、ガストン・モド(『ゲームの規則』の森番役)演じる執事さんの登場する、ディジョンのお屋敷での腹の探り合いのような食事風景、食後のサロン。それぞれの寝室をはさむ廊下の様子などもおもしろい。
(上流階級の「ルール内」での)ジャンヌの恋人(愛人)役ラウルに、ホセ・ルイス・デ・ヴィラロンガ。
この人はフェリーニの『魂のジュリエッタ』にも出ていて、ジュリエッタがうっとりしてしまう、夫の友人の役でした。どちらも適役。端正なマスクに長身のスペインの俳優さんですが、『魂のジュリエッタ』のときの方がミステリアス。『恋人たち』では、見てくれはよいがあまり面白味のない人という感じ(ジャンヌが飽きてしまう役ですからそれでいいんですけど)。
アラン・キュニー(『サテリコン』『甘い生活』など)がネチネチと嫌味な・・・これはジャンヌじゃなくてもうんざりするだろうと思える「夫」を演じているのも見どころです。
後半はロマン主義の画家「カスパー・ダヴィッド・フリードリヒ」へのオマージュという夜の森のシーン。
夫、ラウル、いまの自分・・・すべてから抜け出すかのように、(パリで流行の髪型という)シニョンをほどき、白いナイトガウン姿で螺旋階段をするするすると降りるところから、止めようのないジャンヌの心のように、夜の森のシーンへとなめらかにつづき・・・小さな娘もいる人妻ジャンヌが、出会ったばかりの率直な若者と恋に落ちるその「瞬間」を、月明かりのもとに写し出すアンリ・ドカの映像が美しい。
ふれあうグラスが響き、かさなりあうふたりの手のアップ・・・水車、小舟・・・このあとジャンヌはさらに、公開当時問題視もされたという、皆のいるお屋敷の中での官能的なシーンへと突き進みますが・・・
この作品の「前半」と「後半」のふんいきが大きく変わるのは、共同脚本のルィーズ・ド・ヴィルモランが後半に賛成しなかったため、シナリオなしで即興で撮ったからということですが・・・なにはともあれ、ジャンヌ・モローが、ブラームス弦楽六重奏曲第1番第2楽章の流れるなか、前半・後半とおしてヒロイン「ジャンヌ」の心の動きをいろんな表情で演じて見せてくれます。「(ヒロイン)ジャンヌの内的ドキュメントの映画」という解説を目にしたこともあります。
(本作について、トリュフォーは当初、演出に一貫性を欠くことに触れながらもたいへん賞賛しましたが、のちに少し評価を変えています。ロメールは好みでもあるらしく褒めています。)
・・・
しかしそれにしても、ジャンヌのご主人・・・経営する新聞社の秘書とちょっと怪しいといえば怪しいけれど(せいぜいそれくらいで)何かひどく悪いことをしたわけでもなし・・・考えてみれば気の毒なことでした。
無造作にまとめた髪にスカーフを巻き、出てゆくのを決めたジャンヌと顔を合わせたご主人・・・「急ぎたまえ」とただひとこと。その微妙な感じもよく出ていて、アラン・キュニーは(ネチネチ嫌味なだけじゃなく・笑)好演でした。
でも・・・「彼を知ってたの?」と若者のことを尋ねる友人マギーに対し、
「黙って! 分かろうとしないで・・・無駄なことよ。」と、すべてをふりはらうように決然と言うジャンヌの苛立ちも分かる気がします(そういうモローの演技なのです)。
ジャンヌと若者を見送りつつ、「夫、ラウル、マギー」の醸し出す、唖然・諦観など入り混じり静かに固まってしまったような空気や、何ごともなかったかのように空模様を口にする執事ガストン・モドの全く乱れのない様子もおもしろかったです(笑)。
ラストシーンでモローのナレーションに漂う、「あてのない開放感」みたいなものがとても好きです・・・
最初の夜の幸せが
再びあるだろうか
夜明けの危険な時間に
早くも彼女は自分を疑っていた
彼女は不安だったが後悔しなかった (モローのナレーション 字幕どおり)
P.S. ジャンヌ・モローの衣装デザインはココ・シャネル。
18世紀の小説の翻案。舞台を1950年代に移しています。
前半(全体の2/3くらい)は古典的な趣の心理劇の要素もあって、ガストン・モド(『ゲームの規則』の森番役)演じる執事さんの登場する、ディジョンのお屋敷での腹の探り合いのような食事風景、食後のサロン。それぞれの寝室をはさむ廊下の様子などもおもしろい。
(上流階級の「ルール内」での)ジャンヌの恋人(愛人)役ラウルに、ホセ・ルイス・デ・ヴィラロンガ。
この人はフェリーニの『魂のジュリエッタ』にも出ていて、ジュリエッタがうっとりしてしまう、夫の友人の役でした。どちらも適役。端正なマスクに長身のスペインの俳優さんですが、『魂のジュリエッタ』のときの方がミステリアス。『恋人たち』では、見てくれはよいがあまり面白味のない人という感じ(ジャンヌが飽きてしまう役ですからそれでいいんですけど)。
アラン・キュニー(『サテリコン』『甘い生活』など)がネチネチと嫌味な・・・これはジャンヌじゃなくてもうんざりするだろうと思える「夫」を演じているのも見どころです。
後半はロマン主義の画家「カスパー・ダヴィッド・フリードリヒ」へのオマージュという夜の森のシーン。
夫、ラウル、いまの自分・・・すべてから抜け出すかのように、(パリで流行の髪型という)シニョンをほどき、白いナイトガウン姿で螺旋階段をするするすると降りるところから、止めようのないジャンヌの心のように、夜の森のシーンへとなめらかにつづき・・・小さな娘もいる人妻ジャンヌが、出会ったばかりの率直な若者と恋に落ちるその「瞬間」を、月明かりのもとに写し出すアンリ・ドカの映像が美しい。
ふれあうグラスが響き、かさなりあうふたりの手のアップ・・・水車、小舟・・・このあとジャンヌはさらに、公開当時問題視もされたという、皆のいるお屋敷の中での官能的なシーンへと突き進みますが・・・
この作品の「前半」と「後半」のふんいきが大きく変わるのは、共同脚本のルィーズ・ド・ヴィルモランが後半に賛成しなかったため、シナリオなしで即興で撮ったからということですが・・・なにはともあれ、ジャンヌ・モローが、ブラームス弦楽六重奏曲第1番第2楽章の流れるなか、前半・後半とおしてヒロイン「ジャンヌ」の心の動きをいろんな表情で演じて見せてくれます。「(ヒロイン)ジャンヌの内的ドキュメントの映画」という解説を目にしたこともあります。
(本作について、トリュフォーは当初、演出に一貫性を欠くことに触れながらもたいへん賞賛しましたが、のちに少し評価を変えています。ロメールは好みでもあるらしく褒めています。)
・・・
しかしそれにしても、ジャンヌのご主人・・・経営する新聞社の秘書とちょっと怪しいといえば怪しいけれど(せいぜいそれくらいで)何かひどく悪いことをしたわけでもなし・・・考えてみれば気の毒なことでした。
無造作にまとめた髪にスカーフを巻き、出てゆくのを決めたジャンヌと顔を合わせたご主人・・・「急ぎたまえ」とただひとこと。その微妙な感じもよく出ていて、アラン・キュニーは(ネチネチ嫌味なだけじゃなく・笑)好演でした。
でも・・・「彼を知ってたの?」と若者のことを尋ねる友人マギーに対し、
「黙って! 分かろうとしないで・・・無駄なことよ。」と、すべてをふりはらうように決然と言うジャンヌの苛立ちも分かる気がします(そういうモローの演技なのです)。
ジャンヌと若者を見送りつつ、「夫、ラウル、マギー」の醸し出す、唖然・諦観など入り混じり静かに固まってしまったような空気や、何ごともなかったかのように空模様を口にする執事ガストン・モドの全く乱れのない様子もおもしろかったです(笑)。
ラストシーンでモローのナレーションに漂う、「あてのない開放感」みたいなものがとても好きです・・・
最初の夜の幸せが
再びあるだろうか
夜明けの危険な時間に
早くも彼女は自分を疑っていた
彼女は不安だったが後悔しなかった (モローのナレーション 字幕どおり)
P.S. ジャンヌ・モローの衣装デザインはココ・シャネル。
2014年4月29日に日本でレビュー済み
「死刑台のエレベーター」に続く出演作。モノクロ映像でくっきり捉えられたジャンヌ・モロー30歳。小柄で、顔のそれぞれのパーツが訴えてくる、見る角度で少女から大人の女までの様々な表情を見せ、憂いを帯びた妖艶さが増していく。欧米の人はわきを剃らないからハッとします。ストーリーよりも映像を視るための作品。