この映画は秀逸でした。面白かった。
オムニバス３部形式ですが、人間や社会を考えさせる示唆に富んだ内容が、
それぞれで描かれています。
第１話「勇敢な世界」
ゾンビ化され感情を失っていく人びとの周りを面白く描いている。
テレビスタジオでのコメンテイターが、政党の陰謀と言及するところには
笑えました。
いついかなる時にも、人間は自分に有利なようにの思い込みで現象を
解釈しがちなことを端的に抉っています。
さて、リンゴを食べることでゾンビ達は死ぬことが出来るのだろうか。
物理的には滅びていない肉体のゾンビだが、感情と記憶を失ってしまったら
生きているのだろうか、と人間の視点から考えさせられました。
「新感染｣のマ・ドンソクが友情出演しているのも心憎い。
第２話「天の生き物」
成仏、すなわち仏になるとは、悟りを啓き迷いが無いこと。
人は生まれたときには悟りを啓いていて迷わない。成長するに随って迷いが生じる。
はたして、高度にＣＰＵが発達してある程度の思考回路を獲得したロボットは
悟りを啓くことが出来ないのだろうか。
悟りを啓いていないなどと言えるのだろうか。
私はどこから来てどこへ行くのだろう？
第１話と共に、精神とは何なのかを考えさせられました。
ハリウッド映画などで見られる、ロボットに対する人間の独りよがりの
ヒューマニズム（？）とは一線を画す内容と感じました。
第３話「お誕生日おめでとう」
なるほどネット社会にはこのようなことが起こりうる可能性もあるのか、
と思わされる展開の物語。
代金はどうなるのか、なる疑問も湧きましたが、ＳＦなのであまり突っ込まないで
おきましょう。
上記、３作品。いずれも面白かったです。
俳優、撮影、物語、スタッフなど、韓国の映画産業は着実な力が有ると感じさせら
れました。
2012ファンタジア映画祭にて、シュヴァルノワール賞を受賞した作品だけに質の良さ
があります。
