ルイ・マルのノリノリで才気あふれる華麗な演出が楽しめます。
アンリ・ドカエ撮影による映像が非常に美しいです。
とくに2人が水車小屋から舟に乗り愛し合う流れるような場面は、
ブラームスの音楽も効果的、陶酔感いっぱいでうっとりします。
月の光の下で2人が出会い心を通わせていく過程が見事で
ジャンヌ・モローが非常に美しいです。
フランス映画の中でも屈指の名場面でありましょう。
フォーマット | ブラック&ホワイト, 字幕付き, ワイドスクリーン |
コントリビュータ | ジャン・マルク・ボリー, ジャンヌ・モロー, ルイ・マル, アラン・キュニ― |
言語 | フランス語 |
稼働時間 | 1 時間 31 分 |
夜は時を失った。
月あかりのなかで、ふたりは恋の深淵に沈んでゆく。
月と星が時を制する夜、あらゆるものは眠りにおち、闇と静謐が時間の概念をわすれさせる。その刹那、恋の深淵に沈んでゆくふたりにとって瞬間は永遠の意味をもつ。
華やかな上流社会にいきる夫人が、すべてを捨てさり、ふと知りあった青年と恋の逃避行に出発する。たった一夜の出来事で女は変わった。恋に日常の時間概念は通用しない。
月あかりの情事は、風景を、男と女を、透きとおる硝子細工のように映しだす。封切り当時、この美と官能に研ぎすまされたラブ・シーンは、劇場をひといきれで満たした。
ジャンヌ・モローの妖しい魅力、男を燃焼させる発火力を秘めたその眼差し、26歳のルイ・マル監督の女をえがく繊細な裁き、それらはブラームスの弦楽六重奏曲第1番の滑りおちてゆくようでいてどこか決然とした響きをはらむ旋律にいろどられ、スクリーンには〝恋〟の極限が現出する。