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2004年版のレガシーBOXを所持していた為、購入を迷っておりましたが手に入れました。
ユニバーサルが大切にしているコンテンツだけあり丁寧なレストアによりHD画像で甦った内容には大満足です。
単純なレストアではなく画面を明瞭にし過ぎて不気味さを失わない様に留意したという事。
音質はノイズが取り除かれ、初期のトーキー作｢魔人ドラキュラ｣はサイレント部分の画面が持つ超現実的な力がより引き出されており必見です。
但し前記BOXに取り上げられて居たB級ながらカルト的作品9作が割愛されたのは残念でした。
日本語吹替えは無く、英語と字幕のみです。
本編は「アマゾンの半魚人」のみビスタサイズで後はスタンダードサイズ。
個別ケースとディスク本体にはレトロなポスターのカラー・イラストが使用されていて良い感じです。
52頁のカラー解説書もよくまとまっており、大の怪奇映画ファンの藤子不二雄A氏のインタビュー付き。
但し、DISC2の特典に『予告編集』とありましたが、購入分には未収録でした。
特典映像・音声について。
豊富なフッテージフィルムと映画史家や俳優、監督、スタッフや関係者の家族のコメントを大量に引用した豪華なドキュメンタリーが主です。
全て観るとユニバーサル・ホラー通になれますが、コメンテーターにより一部矛盾した証言もそのまま収録されて居ます(例：ルゴシが『フランケンシュタイン』の怪物役から降板した理由)。
(以後、特典の中味を観るまで知りたく無い方は飛ばして下さい）
DISC1
・「魔人ドラキュラ（スペイン語版）」HD映像で収録。前BOXのカルト作では唯一残りました。
微妙にラテンなノリが楽しいです。
撮影には凝ったテクニックを使用していますが、不気味さとドラキュラ伯爵のカリスマ性はルゴシ＆ブラウニング版には及びません。
・メイキング「THE ROAD TO DRACULA」：ＳＤ映像。約35分。1999年製。
・闇の王ルゴシ(LUGOSI THE DARK PRINCE)：ルゴシの俳優人生を追ったドキュメンタリー。SD映像。約36分。2006年製。
・「ドラキュラの復元」2012年製。
本作BD化に伴うスタッフの工夫と苦労話。
・アーカイブ集。
・フィリップ・グラス作曲、クロノス・カルテット演奏によるサントラ。素晴らしいアーチストの競演による良質のサントラ。 2004年レガシーBOX収録作と同様。
DISC2
・メイキング「THE FRANKENSTEIN FILES：HOW HOLLYWOOD MADE A MONSTER」：約45分。1999年製。
・「カーロフ：紳士の怪物（KARLOFF THE GENTLE MONSTER）」：カーロフの俳優人生を追ったドキュメンタリー。ＳD映像。約38分。2006年製。
・「ユニバーサル・ホラー製作秘話（UNIVERSAL HORROR）」：1998年製のTV向けドキュメンタリー。95分。
これは拾い物の名ドキュメンタリーでした。
1999年のブラム・ストーカー賞の｢その他の部門｣でノミネート。
監督のケヴィン・ブラウンローは高名なドキュメンタリー映画作家/サイレント映画研究家（「イギリスは征服された？（IT HAPPENED HERE）」）。
豪華な出演陣(ナレーターのケネス・ブラナー、実際の作品に関わった俳優・スタッフから作家：ブラッドベリ、ファンジンの父：アッカーマンまで)。
豊富な映像資料(1910年エディソン社の『フランケンシュタイン』からホラーを一時葬った作品として有名な1948「凸凹フランケンシュタイン」まで)。
未見の作品は強烈に観たくなります（1926｢魔術師｣1927｢笑う男｣「猫とカナリア」1932｢モルグ街の殺人｣e.t.c.）。
メイン・テーマ音楽は1950年末よりユニバーサル・ホラーのモンスタ-をリメイクして一世を風靡した英国ハマー・フィルムの代表的作曲家ジェームズ・バーナードでした。
ホラー・ファンなら必見でしょう。
・アーカイブ：各国の様々なポスターやロビー用写真の後は撮影中のスティル写真に被せた音声劇が挿入されています。
・Boo!：1932年製。怪奇映画のフッテージフィルムを利用した現在のMAD動画の元祖（？）的短篇。コメディ。
主にムルナウ監督｢吸血鬼ノスフェラトゥ｣ホエール監督「フランケンシュタイン」、「CAT CREEPS」のフィルムが使用されています。
アルバート・デモンド監督。皮肉な弁士も兼ねますが、笑いのセンスは流石に古いです。
2004年BOXと同内容でした。
DISC3
・メイキング「MUMMY DEAREST：A Horror Tradition Unearthed」：SD画像。約30分。1999年製。
・「モンスターたちの生みの親：ジャック・ピアースの人生と芸術」：約25分。ＳＤ映像。16：9．2008年製
これも傑作でした。錚々たる現代の特殊メイクアップアーチスト達が芸術家肌のピアースについて熱く語ります。
ピアースのべらぼうな長時間メイクは労働基準法が整備されて居なかったからこそ出来た時代の産物で現在では無理、との事。
・ミイラ映画の軌跡を追う
1999年以降のユニバーサル映画リバイバル作品、｢ハナムプトラ｣シリーズを取り上げた2008年製のプロモーション・ドキュメンタリー。約8分。
・アーカイブ
・メイクアップアーチストと映画史家の異なる音声解説2種。
DISC4
・メイキング「Now You See Him: The Invisible Man Revealed!」： SD画像。ホストは映画史家のルディ・ベルマー（音声解説も担当）。約35分。2000年製。
こんなに透明人間物も作られて居たのか、と驚く内容。
・アーカイブ。
・映画史家：ルディ・ベルマーによる音声解説。
DISC5
・メイキング「SHE’S ALIVE! CREATING THE BRIDE OF FRANKENSTEIN」：ジョー・ダンテ監督がホスト。「市民ケーン』に匹敵する傑作。」と断言する猛者もいて愉快。
・予告編集。ＳＤ画像。
『フランケンシュタイン』
『フランケンシュタインの花嫁』
『フランケンシュタインの幽霊』
『フランケンシュタインの館』
・スコット・マックイーンによる音声解説。
DISC6
・メイキング「MONSTER BY MOONLIGHT! THE IMMORTAL SAGA OF ‘THE WOLF MAN」。ＳＤ画像。34分。1999年製。
ジョン・ランディス監督がホスト。
・「狼男・伝説の始まりと魅力」：SD画像。約10分。製作年ははっきりしませんが、2006年でしょうか？
主にその後の定番となった狼男の設定を創造した脚本家、カール・シオドマクの功績に付いて語られます。
・心清き怪物：ロン・チェイニー・Jrの生涯。：16：9。SD画像。約37分。2009年製作。
ホラー映画俳優としてのカリスマは父・シニアやカーロフ、ルゴシには及ばなかった物の、愛された彼の生涯を追ったドキュメンタリー。
実は狼男以外でもフランケンシュタインの怪物、ミイラ男、そして吸血鬼全てを演じたのは彼だけでした（50-60年代一の怪奇映画スター、クリストファー・リーですら狼男は未経験）。
『彼の父、シニアは千の顔を持つ男だったが、チェイニーJrは一つだった。彼はどの映画でも同じだった。』
とのスティーヴン・ジョーンズの言葉が(皮肉では無く）実に味わい深いです。
・「モンスターたちの生みの親：ジャック・ピアースの人生と芸術」：約25分。ＳＤ映像。16：9．2008年製
DISC3と同内容。
・アーカイブ集。
・予告編集。SD画像。
『倫敦の人狼』
『狼男』
『フランケンシュタインと狼男』
『フランケンシュタインの館』
『ドラキュラとせむし女』
『謎の狼女』
・映画史家：トム・ウィーバーによる音声解説。
DISC７
・メイキング「The Opera Ghost: A PHANTOM UNMASKED」：16：9、SD映像。約52分。2000年製。
・フォトギャラリー。
・オリジナル予告編。
・映画史家：スコット・マックイーンによる音声解説。
DISC8
*2D、3D両バージョン収録。
・メイキング「BACK TO THE BLACK LAGOON：A CREATURE CHRONICLE」：SD画質。16：9．約40分。
・フォトギャラリー
・予告編集
『大アマゾンの半魚人』
『半魚人の逆襲』
『ザ・クリーチャー・ウォーク・アマング・アス』
・映画史家：トム・ウィーバーによる音声解説。
メイキング(1999-2000年製)は2004年版レガシーBOXに収録されていた物と同内容です。
一部ホストやコメントも担当した映画史家デヴィッド・Ｊ・スカルが監督・脚本を担当した物です。
DISC2-8にはユニバーサル100年史の短編ドキュメンタリー(2012年製)も収録。
2013年12/31追記。
漸くDISC8の｢大アマゾンの半魚人」を3D観賞。
3Dの特製を上手く生かした水中シーンや半魚人の化石の腕がスクリーンから飛び出してくる様子は思わずのけ反ってしまいました。
高画質も含め、白黒ながら登場人物達がまるで手を伸ばせば触れる位置に居るが如き錯覚に陥る程でした。
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